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new2014 アーキポートセミナー no.6
コンペティション「まほろのオフグリッドハウス」
アーキポート建築家 7組による公開プレゼンテーションの審査発表
 
 
     
 

 

 
オフグリッド住宅のコンセプト
田中 優  環境活動家・未来バンク事業組合理事長・ap bank監事
 

2100年の住宅
 せっかく建てる住宅だからなるべく長く使ってほしい。育つのが早いスギでも育つのに50年かかり、歩留まりが半分程度とすると100年使われなければ次のスギが育たない。では2014年の今日建てたとしたら、2114年まで使われなければ持続可能にならない。その間にどれほど社会は変わっていくだろうか。
 オフグリッド住宅は必然だ。地球温暖化問題からは、2050年時点で二酸化炭素排出量の80%削減が求められている。しかし電気を外に頼んでいたのでは、送電ロスなどで失われる部分が大きすぎる。幸いソーラーパネルの発達によってリーズナブルに自給することも可能になりつつある。電気を自給すれば自宅内の二酸化炭素排出量の47.7%を削減できる。さらに電気自動車を利用してその電気を自宅で発電できればさらに25%減らせる。さらに暖房にペレットストーブ、給湯に太陽温水器が利用できれば確実にマイナス80%は達成できる。今すぐでなくても良い。しかし2050年をまたいで残す住宅ならば、達成しなければならないハードルなのだ。

オフグリッドの必要条件
 オフグリッド住宅を現時点でつくるには、バッテリー容量を抑える必要がある。その量に応じて太陽光発電パネルの必要量が決まる。「どれだけ日が当たるか」以上に重要なのが、「どれだけ電気を必要とするか」なのだ。たとえば今標準的に計算される家庭の電気消費量は一日10kwhだが、その量を雨に備えて三日分プールするだけで30kwhのバッテリーが必要となる。リチウムイオンバッテリーなら約1000万円かかり、再生鉛バッテリーを用いた場合には重さが1200kgに達してしまう。
 まず電気消費量を自然に抑えられる住宅にしなければならない。熱に電気を用いず、省エネ製品を活用するならば同じように暮らしても、一日3kwhに抑えることができる。まず建物の断熱性能と上手なパッシブ性能は欠かせない。
 もし3kwhで足りるなら、一日平均5.2時間晴れる日本では、ソーラーパネルは1kw(広さにして畳4枚分)で足りる。余分の広さは電気自動車用の発電や太陽温水器のスペースとして使えることになる。太陽光発電の余剰で熱をつくり明かりを取るなど技術の進展を折り込めば、もっと可能性が広がっていくだろう。

オフグリッドは自由への扉
 オフグリッド住宅は自由になるための住宅だ。電気の送電線網(グリッド)につながっている限り、その暮らしは自由ではない。たかが発電のために命懸けになるような発電インフラが推進されるのも、人々がオフグリッドは不可能だと思い込まされているせいだ。自給できるとき、人々は束縛の鎖から解放される。
 そして電気自動車があれば、ガソリンスタンドも不要になる。ペレットストーブが導入できれば灯油を買う必要もない。太陽温水器は少なくともガスの半分を不要にしてくれる。水も井戸や雨水に頼れれば水道管の給水設備につながる必要もない。携帯電話とデザリングでインターネットをするならば、電話線も必要ない。
 もうひとつ大きな変化が訪れる。人々はその分だけ稼がなくても暮らせるのだ。まるで無人島に暮らすような自由さが手に入る。社会の仕組みにはまらなければならないと思い込んでいる今の生き方から、本当に自分のしたかった暮らしへの扉が開いていく。その先にある未来を夢想していくと、自分がどう生きたかったのかを考えるきっかけにつながるだろう。

内実ともに時代を超えた住宅へ
 これまでの建築はデザインに偏りすぎ、必要なコンセプトとのバランスを失してはいなかっただろうか。美しさは「奇抜さ」ではなく、「機能性とのせめぎあい」から生まれるものではなかったか。
 「オフグリッド住宅」は必要とする機能のコンテンツだ。機能性を日本の都心地域の狭小地域で実現する。そこには必要とされるデザインの必然性が生じることになろう。その最初の試みが、今回のコンペだと思う。
 しかしここで終わりではない。むしろここが始まりになる。なぜならこうした暮らし方こそが未来の必然になるからだ。厳しい条件が加われば加わるほど、機能性とデザインの融合が求められる。その先にある建築の姿が観たいのだ。ぜひみなさまの力で実現していただきたいと切に願う。ただの「地球にやさしい住宅」など見たくない。インデペンデントに自立できる「オフグリッド住宅」こそが必要なのだ。


 
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